第2話 優しさの理由

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「ほう..剣持-そうだったのか」 先生が急に言い出す。 「いや,何が」 「お前ら付き合ってんの?」 「「付き合ってません(ねぇよ)」」 何を言うかと思えばそんな事か...ってあほか。 なんで私が剣持と付き合わなきゃあかんのよ。 「んじゃあ,御前等! パス練習すっぞ-ボール取りに来いよ-」 「剣持,私行くから」 「いや,俺が行くからいい」 そう言ってボールを取りに行った剣持。 「ねぇ」 後ろから低い声が聞こえた。 恐る恐る振り向くと其処にいたのは鳴海さんである。 「協力するって言ったよね? なんで貴方が剣持さんとペア組んでるの? 栞が剣持さんの事好きなの知ってるくせに」 何故か泣き出す鳴海さん。 否々,私何もしてないし嫌いとも言ってない。 個人的苦手だけど。 責任転嫁が大好きなようだね鳴海さんは。 「あのさ,一言言わせてもらうけど私とペア組むって言ったのは私じゃなくて剣持やし文句あるんなら剣持に言ったらええやん。 なんで私と組んでくれないのって。 それが言えないから他人を蔑むんやろ。 てかまず私意地悪とかしてないし,剣持にそうするように仕組んだわけでもないし彼奴が勝手に選んだんだし。 兎に角,この事は私に言っても無駄やから」 はっきり言ってしまった。 私なら文句も言わないと思ったのだろう,鳴海さんは唖然としている。 「椎名,ボール持ってきた」 「あ,剣持ありがと」 「やろうか,練習。 あんさ,鳴海邪魔なんだけど退けてくれる?」 剣持は誰に対しても冷たい。 そしてはっきり言ってしまう。 練習中。 此奴,賢いだけじゃなくて運動神経もいいの!? そんな剣持に嫉妬。 「御前マジ下手だな-椎名」 「や,やった事ないからしゃ-ないやろ!」 「俺が教えてやるよ」 「お断りします」 反射神経からか避けてしまう。 「椎名,ボールを好きな食べ物だと思え」 例えが酷すぎないか。 好きな食べ物...メロンパンしか思いつかない。 あ,メロンパンが飛んできた..! 打てた。 返せたよ,剣持に。 スルっと肩の力が抜けて,座り込んでしまった。 「やれば出来るじゃん,チビでも」 そう言って,撫でる剣持の手が優しかった。 なんで嫌いなのに優しくすんの…?
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