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「僕がいた星の空は青かったんです」
「青?」
「でも夜は真っ暗でした。こんな風に」
「そう。だけどここは、ずっと真っ暗よ」
「そうですね。でも星は凄くキレイです。世界は広い。いろんな星があるけど、どれもキレイですね」
空を仰げば、煌めく星達の姿。
赤いあの星は何ていったかしら?こっちの青い星は、たぶん彼がいた星。今はもう誰も住んでいない星。誰も住めない星。
数十年も前に勃発した、その星の戦争。宇宙規模で見ればただの内戦であるそれが、星を破滅へと追いやった。
彼等の自滅。自業自得だし、私にはどうでも良い事だし、むしろ良い気味だと思う。世界で一番偉いのは自分達だと、頂点に立つのは自分達だと、宇宙そのものを我が手に……と思い上がっていた彼等への、世界からの天罰。
世界の頂点に立つのは“世界”だけなのに。
故に彼等は星を捨てて移り住むしかなく、結果、この宇宙で散り散りになってほとんどが奴隷として生きている。目の前に佇む青年も、その一人。
奴隷と喋るなんてどうかしている、って他の人は言うけれど、私の知らない世界を知る彼の話は聞いていて案外面白い。
だけど──……
「戦争、早く終わらせなきゃ大変な事になりますよ」
「そうね」
「最初はね、小さな仲違いなんです。それから内戦、戦争、そして──」
「もういいよ。疲れたから帰る」
「……そうですか。お気をつけて、お嬢様」
深々と頭を下げる彼は、明日の私の姿かもしれない。
~ fin ~
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