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「イヤ・・・ずっと一緒にいるって約束したじゃない!」
ピーーーピーーー
不気味な機械音だけが、彼の魂がもうここには無いことを告げていた
「はいカット!奈々美ちゃん今の良かったよ!」
「ありがとうございます!」
「セットチェンジに一時間かかりま~す」
「監督!私、一旦楽屋に戻りますね」
「あぁ、しっかり休むんだよ」
「では、失礼します」
あ~やっと抜け出せた~
泣くシーンは、無理に涙出さないといけないから本当に苦手というよりキライ
なんでわざわざ流したくも無い涙を出さないといけないわけ!
監督、いや、あのハゲジジイも年とってるくせに、中高生向けのドラマの監督なんかしてんじゃねぇよ
高校生になってすぐ街でスカウトされて芸能界という道に入った。
とは言っても、楽しいことなんか年に一度あるかどうか、それでも仕事を辞めるわけにはいかない
一度でも、世間に顔と名前を出した以上アルバイトなんて、ファンがお店に詰め寄ってきて即クビ
就職なんでもっての他、仕事をやめて家にこもってもご飯が食べれなかったら困る
だから私はこの仕事を辞める訳にはいかない
今、撮ってるドラマも今日でラストシーンを撮り終わったらクランクアップ
やっとあのハゲと会わなくてすむ~
「田中さん、セットチェンジ出来ました。」
「今、行きまーす」
我ながら、自分は詐欺師に向いてると思う
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