第1話

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「イヤ・・・ずっと一緒にいるって約束したじゃない!」 ピーーーピーーー 不気味な機械音だけが、彼の魂がもうここには無いことを告げていた 「はいカット!奈々美ちゃん今の良かったよ!」 「ありがとうございます!」 「セットチェンジに一時間かかりま~す」 「監督!私、一旦楽屋に戻りますね」 「あぁ、しっかり休むんだよ」 「では、失礼します」 あ~やっと抜け出せた~ 泣くシーンは、無理に涙出さないといけないから本当に苦手というよりキライ なんでわざわざ流したくも無い涙を出さないといけないわけ! 監督、いや、あのハゲジジイも年とってるくせに、中高生向けのドラマの監督なんかしてんじゃねぇよ 高校生になってすぐ街でスカウトされて芸能界という道に入った。 とは言っても、楽しいことなんか年に一度あるかどうか、それでも仕事を辞めるわけにはいかない 一度でも、世間に顔と名前を出した以上アルバイトなんて、ファンがお店に詰め寄ってきて即クビ 就職なんでもっての他、仕事をやめて家にこもってもご飯が食べれなかったら困る だから私はこの仕事を辞める訳にはいかない 今、撮ってるドラマも今日でラストシーンを撮り終わったらクランクアップ やっとあのハゲと会わなくてすむ~ 「田中さん、セットチェンジ出来ました。」 「今、行きまーす」 我ながら、自分は詐欺師に向いてると思う
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