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【Ⅳ】
「あ、れ……?ここ……」
ふるりと瞼が震えて、低く掠れた低音が心地良く耳を擽った。ぱちぱちと数回瞬きを繰り返す大きな瞳を見下ろす。薄いコンタクトレンズの膜が、ぎこちなく上下するのを見守った。
「は、あ?っ……!」
「おはよう。よく寝ていたね」
くすりと笑う俺の膝に頭を乗せた黒川の目が、いちだんと大きく見開かれた。
「おわっ……かっ、会長っ!?」
勢いよく飛び起きる身体がグラリとふらついて支える。
「うん?急に起きたら危ないよ」
「すんません……っ!じゃなかった!すみません俺なんで寝て……?」
「間違ってシャンパン飲んだの覚えてるかな?」
「はい?」
「酒弱いの……?」
俺専用のテラス席は個室のようになっている。ソファーに押し倒すと黒川が、ぼんやりと俺を見上げていた。
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