2014※精なるxxx Ⅱ※

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【藍沢 建志郎×黒川 奈央】 「クッ、迷った……」 クリスマス当日に高校生にして迷子になる人間は、恐らく自分くらいだろう。生徒会庶務、羽束師昴を探していた。それにしても“御厨”のホテルは広い。宿泊客向けに設置されたパンフレットを見る。些末な当たり障りない経路、施設しかそこには記載されていない。生徒会の連中の居場所など聖学を出れば一介の高校生である自分には想像がつかない。現に、受付で訊ねても笑顔で濁された。奴らに対するセキュリティは鉄壁だった。改めて、社交界での奴らの格付けを思い知った。自分は無力だ。 「少し疲れた」 そして迷子だった。
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