chapter2

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「なんで裕太君はそんな1人で抱え込もうとするの?」 杏は心配そうな声で俺に訊ねてくる。 「雨音が好きだからだろ。俺も裕太に聞いた訳じゃないからわからねーけど。中学の時の嫌がらせは酷かっただろ?だからまたそんな思いをさせたくはないんだろ」 杏は当時の事を思い出したのか、青い顔をしていた。 「なら優希にこの事を伝えようよ!そうすれば解決するよ!」 「いや駄目だ!裕太が雨音に言わない以上は俺達からは絶対に言ったりするな!」 「だって…それじゃああんまりだよ…2人が可愛そうで…」 杏は俯いてしまう。顔を覗き込むと、今にも泣き出しそうな顔をしていた。 俺も2人の関係は不憫だと思っている。いっそ雨音に裕太のした事を伝えた方がいいのかも知れない。 だが、それじゃあ裕太の気持ちはどうなる。辛いハズの自分が一番伝えたい事を我慢しているのに。 俺はそんな裕太の気持ちを無下にはできない。
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