1羽目.おれは人。

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「そういえば、梅井、他の皆はどうしたんだ?」 復活した会長は梅井先輩にそう言った。 「ああ、皆帰った」 この瞬間、会長は唖然とした表情。おれ達はふーんみたいな薄い反応。 「だってなあ、仕事終わらせたし、やることないし、今日くらい休みてーんだろ」 「う、梅井がまともなこと言ってる・・・!」 「うるせえぞ、俺っちはいつでも素敵にまともだ」 意味が分からない。しかし、普段の梅井先輩が酷い態度だということは分かった。会長の顔が驚きで劇画チックになっているのが証拠だ。 「てな訳で、俺っちももう帰るわ  会長十分いじったし」 「仮にも僕は上司だぞ、それを・・・!」 「はいはい、分かった分かった  じゃーなー、1年諸君」 梅井先輩はさっさと帰って行った。 「あんな人間がこの世にいるのか」 「安心しな、小野塚も同じようなものだよ」 「確かにな」 おれと匠がそう言うと、小野塚はお前達なあ、とまで言ったが、それ以上は言わなかった。 「いい加減反応するのも疲れた」 「認めればいいのに、そういう所が頑固って言われるんだ」 「ほんとね」 「き、君達、いい加減止めてあげようよ彼が可哀想だよ・・・」 会長が止めに入った。もう帰ったと思ってた。 「会長、ありがとうございます・・・でも頑固じゃない」 本当に頑固というかしつこいな。 「分かったから」 匠も呆れてる。会長は・・・驚くよな、そりゃあ。同情していたのにすぐまたその話を掘り返すんだから。 「ぼ、僕もそろそろお暇するよ」 明らかに動揺してる。面白い。梅井先輩の気持ちが少し分かった気がする。 「会長さよなら」 「さいならー、またいつか」 「また会えたら」 「会えるよ、同じ学校なんだから」 じゃあね。と言って、会長は去って行った。 「おれ達もさっさと食べて帰るか」 おれなんやかんやずっと食べ続けてたから、残りサラダが少しだけ。 「そうだな、あ、お前達そういえば寮部屋何番?中等部卒業した後移動してから一度も会わなかったよな」 本当だ。気がつかなかった。おれ達っていつもべたべたくっつてる訳でもないからな 。 「そういえば会ってなかったね  僕は26号室だよ」 「俺4号室、とり丸は?」 え、全然違う・・・。 「303号室」
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