36人が本棚に入れています
本棚に追加
会長のおかげで目がばっちり覚めた。流石会長。なんやかんや入学式も終わり、これからホームルーム。1年生は2~9組まではクラス棟2階、1組は特別棟という特別教室を集めた棟、10組はお馬鹿さんチームということで、クラス棟と管理棟の間にある謎の3階建ての建物に隔離。
そして関係ないがおれを観察する周囲の人々。見ないでくれ。
「あ~あ、よく寝た」
大あくびしながら言うな。
「おれも、それよりさ、会長見たか?」
「会長?見てねえよ
どうした、お前もついに目覚めたのか」
「違う、見てないならいい
あれは言葉では伝えられない」
なんだしそれーとか横から聞こえるが無視。
ちなみに、小野塚が言った目覚めた、というのは何かというと、同性愛に目覚めたかっていう話だ。この学園の自由というか放任的な校風に、小さい頃から男をずっと見てるからか、いけるんじゃないか?という無駄な好奇心も足されて、男同士も平気な人が多い。
おれも前に告白されたことがある。何でも、その人は鳥が大好きだそうで、にわとりの被り物かぶって、性格も悪くないおれはドストライクだったそうだ。お断りしたが。おれにだって好みがある。男だって別に良いが、なよなよしているのは嫌だった。
ほっとかけ声をつけて小野塚が階段の最後の一段を上がる。
「お、3組近いな」
左に曲がって一番手前。
「そうだな、移動が楽そうだ」
教室の中には半分以上の生徒が揃っていた。・・・中に入ったとたんこっちを見るな。
こんな時だが豆知識。おれはにわとりの被り物をかぶっているときといないときでテンションが違う。かぶっていると少し高くなる。豆知識終了。
「・・・今さらだけどその覆面?目立つよな」
覆面っていうな。なんかそれだと悪いことしそうじゃないか。
「すぐなれる、なれろ」
なれろ、の時にクラス全体を見渡しながら言う。静かだった教室がさらに、静かになったように感じる。気のせいか。
最初のコメントを投稿しよう!