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「新学期早々元気だね、おはよう」
入口から小野塚とは違う声が聞こえて振り向く。
「匠か、おはよう このクラス?」
肘くらいまである長い黒髪をたなびかせスカートをひらひらとさせながら入ってくる乙川 匠-おとかわ たくみ-。言っておくがここは男子校だ。そして匠は男だ。
「うん、よろしく」
匠は女装が趣味で、いつでも女装している。正規の制服など一度も着ておらず、自身が作った帝旭の制服女子バージョンをいつも着ている。そのせいか、新聞部のしている学園内の『この人ならいける』ランキング、別名男でも良いから付き合いたい、彼女部門1位を3年連続で取っていた。高等部でも取るだろう。
おれは『謎なもの』ランキングという本来ならば物や場所がランクインするランキングで1位を取ってしまった。
小野塚は・・・
「小野塚、お前が1位になったのって何てランキングだっけ」
「いきなりだね、にわとりは」
匠、おれ、にわとり丸。にわとりじゃない。
「ああ、『意志が強い人』ランキング」
「あ、別名頑固な人ランキングだ」
思い出した、小野塚は誰もが認めるスポーツマンであるとともに、誰もが認める頑固者だった。
「別に頑固じゃねーし・・・」
小野塚がふてってる。認めろ、楽になれるぞ。
「しっだん、しっだーん、ホームルーム始めるぞー」
思いっきり日本語だ。この人は絶対英語教師じゃないな。
教室の前の方のドアを開けて担任と思われる人が入ってきた。遅くないか?というか若いな。
「ほらほら、席つけ」
先生は出席簿で教卓を叩きながら促してる。先生、イケメンですね。小野塚はスポーツマンオーラが強すぎてぼんやりしたイケメンだけど先生はっきりイケメン。
皆大人しく席に着く。元々席から離れてる方が少ないし。
先生が黒板に名前を書き終えてまたこちらを向く。
「このクラスの担任になった松原 隆-まつはら たかし-だ」
松原先生はおしゃれワカメみたいな黒髪に、切れ長の黒目。無精ひげくらい剃ればいいのに。
「英語担当だ、これから1年よろしく 何か質問あるか」
なんで英語担当なれたんですか、とは言わない。
先生がそういうと1人勢いよく手を挙げた人が1人。
「はい!先生いくつですか!」
テンション高いな。あいつ見たことあるぞ、確か・・・
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