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小野塚の格好は、凄い。体育委員全員これか。
上下ともに濃いオレンジ色のジャージで、横に白い線が1本入っている。首にシルバーの笛をかけていて、今はかぶっていないが同色の帽子もあるらしい。
「委員長の祭先輩と副委員長はもう少し薄い色だった」
別に聞いていないが、そうなのか。
「そうなんだ・・・で、にわとりはそれが委員会専用制服なの?」
匠がこちらを向いて言う。余程あのジャージを見たくないらしい。話題の振り方が雑すぎる。
「ああ、どう?」
両手を広げて見せる。自分でやっておいてあれだが、どうもこうもないよな。
「いいと思うよ、血の色みたいで」
「おい」
怖いこと言うなよ。
「このジャージの次くらいにいいと思うぜ!」
分かったから。
「ありがとう やっぱり皆委員会専用制服着て来るんだな」
専用制服を着ている人が全体の4分の1程いる。
「楽だしな、これの方が」
「そうなんだ 僕はこれで十分だけどね」
「匠の場合、それが専用服だよな」
今も着ているそのオリジナル女子制服。
ちなみに今日の匠は鎖骨のあたりまである黒髪の鬘をかぶっている。
「まあね 頑張って作ったから、誰にも使わせないよ」
「誰も使いたくないだ・・・いやあ、素晴らしい!最高の出来ですね!」
「当然でしょ」
ついぽろりと本音をもらした小野塚を睨む匠。まあ、仕方ない。
「ところでにわとり、今朝食堂で見なかったけど、どうしたの?」
「今日から委員会の仕事で朝早くでなきゃいけなくなったから、部屋で食べたんだ」
前から約束していたわけではないが一緒に食べていた。が、これからは食べられなくなる。
「そうなのか、残念だな」
「ああ、本当にな」
「ま、頑張って」
匠の言葉とともに先生が教室に入ってきた。席に着こう。
「おー、おはようおはよう 随分とカラフルになったな」
「それじゃあ今日はー・・・通常授業だな、うん」
なにもないのか。まあまだ1学期始まったばかりだしな。
そうして、何事もなく1日が過ぎていった。
「よー、朝ぶり」
「朝ぶり」
「遅かったね、辰」
「クラスの奴に捕まってよ、時間食った」
その格好じゃあ仕方ない。
放課後になり、小屋に来た。おれが来た時はまだ誰も来ていなかった。
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