3羽目.おれと患者とゴールデンウィーク。

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「にわとり丸君、ここまでありがとう  後は僕がするから」 「お願いします」 じゃあね、と校舎へ向かって行く会長。 「ここまでありがとう」 「大丈夫ですよ、それよりおいて行かれますよ」 さっさと行かないと佐育先輩はまた迷子になると思う。 「ああ、行くよ   またね、唐丸」 マントを翻し、颯爽と歩いて行く佐育先輩。 「え?」 唐丸って言ったよな。唐丸って。 おれは生徒寮に向かって全速力で走って行った。 「小野塚、小野塚いるか?」 チャイムを鳴らし続ける。 まだ帰っていないはずだ。 「もー、誰だよ・・・とり丸?」 「今いいか?」 「ああ、同室の奴はいないからそこで待っててくれ」 中に入り、2つある2人掛けソファーのうちの1つに座る。 「はいよ、麦茶好きだろ?」 ありがたい、麦茶は好きだ。 「ありがとう」 小野塚しかいないし、これからする話を考えておれはにわとりのかぶりものをとった。 小野塚はこの学園に入る前からの友達で、学園で唯一おれの顔を知っている人だ。 「久しぶりにその顔を見けど・・・それを取るって事はなんかあったんだよな」 流石小野塚。よく分かっている。 「さっき、荷物を配り終わった帰り道に偶然3人の転校生に会ったんだ」 「3人もいるのか・・・それで?」 「途中会長に会って、その3人組を任せたんだ」 「まあ、そういうのは会長の方がいいよな」 「それで、おれと分かれる時、転校生の1人、佐育先輩って人がおれに・・・」 「またね、唐丸って・・・」 そういった瞬間、小野塚は目を見開いた。 「本当にそう・・・唐丸って言ったのか?!」 「ああ」 唐丸とは、おれの名前だ。 小野塚のように、昔からの知り合いなら知っていておかしくない。だが、おれはこのにわとりのお面をしていた。 それなのにおれが唐丸と分かるのは、事情を知っているおれの家族か小野塚だけ。 家族と小野塚以外に分かる人がいるとすればそれは事情を知っている他人。 つまり、おれがここに来た原因、昔おれを襲った犯人だけだ。
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