3羽目.おれと患者とゴールデンウィーク。

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今から1年と少し前。 中学2年の5月中旬、事件は起きた。 「あー・・・あ」 現在学校からの帰り道。部活に入っていないので帰る時間は早い。 なんか、凄く眠い。いつも通り寝たのにな。 まあ、いいか。家帰って昼寝しよう。 まだ残っている桜を見ながら帰るのが最近のブーム。 「花見楽しかったなあ」 前にクラス全員で花見をした。先生も一緒に騒いで楽しかったなあ。 クラス1かわいいと言われる中村さんともたくさんおしゃべりしちゃったもんねー。 「ああ、またなんかしたいな」 思い出したらテンション上がってきた。 スキップしたいけど流石に変な人とは思われたくないからやめる。けど、抑えきれないから、走る。 家まで走るなんて久しぶり。家から学校まで近くて、走る必要なんてないし。 寝る前になにかお菓子食べようかな。お煎餅の気分。 「あっという間に到着ーっ・・・!」 鍵を開けようと、ポケットに手を入れた瞬間、顔に何か、かけられた。   スプレー?なんだ? 「目にしみるっ・・・誰だよ?兄ちゃん?」 いや、兄ちゃんがこの時間に帰ってくるなんて聞いてない。 じゃあ、誰だ? こんな時に、眠くなってきた。まさかあのスプレー、催眠ガスっていうあれか? 顔だけでも見てやる。 スプレーをかけてすぐ、おれの口元をタオルで覆った何者かを見ようとした。が、力が強くて頭が全く動かない。大人か?でも、どうして。 そこでおれの意識は途絶えた。 「・・・」 目が覚めたが、それを分からせないように何も言わない。 どこだここは。暗い。見た事あるような・・・。 あ、思い出した。小学校の時見学した下水道だ。という事は、ここはまだ家からそう離れてはいない。 腕が後ろで縛られている。足も動かないように縛られている。 さっきから思っていたけど、コンクリートにそのままじゃなくて、ブルーシートみたいな物の上に寝かされている。 物音はしないし、誰もいないのかも。 腕を縛っている縄を何とかしようともぞもぞしたら、 「駄目だよ、逃げようとしちゃ」 耳元で男の声がした。
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