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果たしておれはこの男に手を出されてしまうのかどうか。
軽く言っているが嫌だ。そんな事できると思わないし、思いたくないし。
「唐丸っ・・・」
ちょっと、ワイシャツのボタン外さないでくれませんか。
「何するんだ、この犯罪者っ」
ワイシャツのボタンは2つしか外されずにすんだが未だ男はおれの腰のあたりに乗っているので、離れられない。
「・・・犯罪者?」
「こんな事しておいて犯罪じゃないわけないだろ」
この男はばかなのか?それとも、おれがそんな事は知らないだろうと思われていたのか・・・それだったら腹が立つ。
「犯罪なわけない、だって愛しあっているんだから」
「愛しあってるわけないだろ、初めて会ってその場で誘拐されて、変な物見せられて」
犯罪における被害者の心理とかいう本を見た事あるけどおれには理解できない。
こんな事をする人を好きになれるか。好きになれるのは余程のお人好しか、少々考え方がぶっとんでいる人だと思う。
「初めてじゃないよ、いつも会ってるだろ? 唐丸、いつも僕の事見てくれてたじゃないか」
いつもおれが見ている?
「・・・なのに今日は全然僕の事見てくれなかったよね」
この男は誰だ。おれが知っている人らしいが声を聞いても誰も思い当たらない。
「他の奴なんて見ないで 僕を見て 僕に触れて 僕の事を考えて 僕と過ごして 僕と死んで」
「・・・」
この男が誰かは分からないが、この男は危険だと改めて理解した。
「ずっと我慢してた 大人になるまで待とうと思ってた けど、唐丸が女に引っかからないように、女じゃ満足できないように、なってね」
なってねと言いながらさらに近づいてくる男。どんどん体が倒されていく。
「やめれくれっ、無理だ
おれは男だぞ、見れば分かるだろっ」
それとも実はこの人、女の人?
「知ってるよ、唐丸の事だったら何でも」
「身長168、体重59
視力両目1.0以上
足は25.5 聴力問題なし
成績は数学と理科が3、それ以外全て5
前回のテストでは学年1位
進学希望先は市内公立校
志望動機は家が近いから」
鳥肌がたってきた。
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