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それじゃあ、と出て行こうとする静一さん。本当に関の事には触れなかった。
「いいさ、オレは1人で赤点取ってりゃいいんだろ……」
取っ手に向かって手を出した状態で固まった静一さん。どうしたんだ?
「赤点パーティーだーい……」
空元気が痛々しい。
「2年になれるのか……その前に学校にいれんのかな……」
「関君、赤点を取りそうなんですか?」
固まった状態で話す静一さん。
「え? まあ……そうっすね」
「それはいけませんね」
無視されていたからか、突然話しかけられて驚く関。
「赤点を取った生徒は委員会活動を休止しなくてはいけないんです」
「そんなルールがあるんですか」
古屋敷に、ええと返す静一さん。そうだったのか。ただでさえ少ないのに、関がいなくなったら2人だけになってしまう。
「それはまずいな」
「そうだね……配達範囲が増える」
オレの価値はそこだけなのか……と呟く関。出会って1ヶ月未満なんてこんなもんだろう。
「古屋敷君かにわとり丸君、どちらか関君に教えてあげる事はできませんか?」
「すみませんが俺は自分が赤点を取らないようにするだけで精一杯で……」
そうでしたか……と言う静一さん。もしかしてこれは……
「にわとり丸君はどうですか?」
やっぱり。聞かれると思った。
「おれも、赤点回避できるかぎりぎりで…」
「にわとり丸君は3組でしたよね?」
おお……。食い気味に言われた。
「そうですが」
笑顔が怖い。
「中等部時の担任の先生が仰っていましたが、1組に勝るとも劣らない成績だったそうですね」
何故知っている。
「中等部の時ですし」
「松原先生に伺いましたが、各科目の小テストも全て良成績だそうで」
だから何故知っているんだ。
「所詮小テストですから」
「本音を言いましょうか」
「面倒です……!」
はっ、しまった。つい言ってしまった。
「にわとり丸君」
「はい……」
驚いた。おれでもこんな弱々しい声出せるのか。
「関君の勉強」
「喜んで見させていただきます」
逆らってはいけないとどこからか聞こえてくる。
「では皆さん、勉強、頑張ってくださいね」
フフフフフ、と言いながら出て行く静一さん。
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