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「こ、怖かった……」
おれの言葉に古屋敷と関もこくこくと頷いている。
「で、ちきすけよ」
にやにやしている関が憎たらしい。
「仕方がない、あまり期待はするな」
「いやっふーっ!」
はしゃぎ回る関。ああ面倒。
「その前に、これ配りに行ってね」
仕分けが終わった古屋敷が、はい、と言って関に渡した。
真面目にずっとやってたからな。いつもより遅いスタートだったが配達はいつも通りできそうだ。
「これがにわとり丸の分」
「ありがとう」
生徒宛てでたまに仕送りか何か知らないがダンボールが送られてきたがあれは重かった。今日はないようだ。
「そうだ、部活宛てとかって誰がやるんだ?」
関に言われ、言っていなかった事を思い出した。
「部活、委員会宛ての物はおれが配る
これは何故か決まりらしい」
ゴールデンウイーク中に静一さんに言われた。何か前の代の人達がやらかしたのだろうか。
「そうなんだ、じゃあ行こうか」
全員荷物を詰め終わったようだ。おれも今日は少なめだからと選んだウエストポーチの口を閉じる。
「忘れる所だった、これ、持っててくれ」
2人に鍵を渡す。
「? ここの鍵か? これ」
「ああ、そうだ」
不思議そうに見る関と古屋敷。
「何で? 俺達持っててもいいの?」
「ああ、いつもおれが来るのを待ってるのは大変だろう」
静一さんに頼んで作ってもらった。
「サンキュー!」
「まあ、関は使う事はないだろう」
今日だっておれが起こしに行くまで寝ていたし。
「ある! 放課後とか!」
「朝起きられない事は認めるんだ……」
苦笑する古屋敷。とりあえず配りに行こう。
「その鍵はなくすなよ、静一さんが怒るぞ」
多分。
そう言うとまたもこくこくと頷く2人。
「じゃあ、行くか」
小走りで行く古屋敷と自転車で走り出す関。おれは近いから歩く。
あ、部活宛てとかもあるんだった。
やっぱり走る。遅くなるのは嫌だ。
「部活名義で荷物頼むなよ……」
個人名義な寮でいいのに……。
まあ今日は軽いからいいか。
風が気持ちいいなあ。
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