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特に問題も起きず、配達は終わった。
「関、おれの友達が2人で勉強会をしているんだが場所はそこでもいいか?」
「……わりいけど、オレ大人数になると勉強に身が入らなくなるから無理だわ」
教えてもらう立場なのに悪いな、と続ける関。
「いや、先に言ってくれてよかった」
そういう事なら仕方がない。
じゃあどこにするか。
「にわとり丸の部屋に行けば? 同室もいないんでしょ?」
盲点だった。
「そうだった、それでいいか?」
「サンキュー、じゃ、ちきすけの部屋な」
言いながらくるくると椅子に座りながら回る関。
「いつから始める? 早い方がいいよな?」
あれだけ焦っていたし。
「できるなら今日からでもやって欲しい……!」
両手を顔の前であわせてちらちらとこちらを見る関。
「分かった」
そういった瞬間、笑顔になる関。分かりやすい。
「まじかっ!」
「俺先帰るね」
「ああ、また明日」
バイバイと手を振って出て行く古屋敷。
このタイミングで帰るとは流石だ。
「薄情もんめ……!」
古屋敷の出て行ったドアを睨んでいる関。
「おれ達も帰るか……夕ご飯食べて、終わったら勉強を始めよう」
「おう! 行こーぜ!」
中間考査までまだ2週間はある。教えるのなら赤点回避はさせたい。時間はあるし、まあ大丈夫だろう。
……よっぽどでなければ。
「ちきすけー、何してんだー?」
ドアの向こうから声が聞こえる。
「悪い、今行く」
今から不安になってもしょうがないな。
仮にも6組だし、そこまで悪くないはずだ。何とかなるさ。
「何とかなるさ……!」
「ちきすけ、そんな死にそうな声出さないでくれよ!」
出させないでくれよ……!とは言わないが……。
とりあえず、どの程度できるのかテストの範囲で基礎問題を出してみた。結果、
「現文以外ぼろぼろだな」
その現文も漢字で何とかしているような状態。
「オレ漢字は得意なんだ!」
「漢字だけできても駄目なんだよ」
思わず冷静につっこんでしまった。
「……よし、危ない科目からやろう」
「おいおい、全部一気には進められないぜ?」
「唐揚げにしてやろうか」
「地味に怖いごめん」
やれやれ、みたいな表情が凄く腹立たしかった。
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