4羽目.おれとあの人と例のあれ。

6/7
前へ
/87ページ
次へ
特に問題も起きず、配達は終わった。 「関、おれの友達が2人で勉強会をしているんだが場所はそこでもいいか?」 「……わりいけど、オレ大人数になると勉強に身が入らなくなるから無理だわ」 教えてもらう立場なのに悪いな、と続ける関。  「いや、先に言ってくれてよかった」 そういう事なら仕方がない。 じゃあどこにするか。 「にわとり丸の部屋に行けば? 同室もいないんでしょ?」 盲点だった。 「そうだった、それでいいか?」 「サンキュー、じゃ、ちきすけの部屋な」 言いながらくるくると椅子に座りながら回る関。 「いつから始める? 早い方がいいよな?」 あれだけ焦っていたし。 「できるなら今日からでもやって欲しい……!」 両手を顔の前であわせてちらちらとこちらを見る関。 「分かった」 そういった瞬間、笑顔になる関。分かりやすい。 「まじかっ!」 「俺先帰るね」 「ああ、また明日」 バイバイと手を振って出て行く古屋敷。 このタイミングで帰るとは流石だ。 「薄情もんめ……!」 古屋敷の出て行ったドアを睨んでいる関。 「おれ達も帰るか……夕ご飯食べて、終わったら勉強を始めよう」 「おう! 行こーぜ!」 中間考査までまだ2週間はある。教えるのなら赤点回避はさせたい。時間はあるし、まあ大丈夫だろう。 ……よっぽどでなければ。 「ちきすけー、何してんだー?」 ドアの向こうから声が聞こえる。 「悪い、今行く」 今から不安になってもしょうがないな。 仮にも6組だし、そこまで悪くないはずだ。何とかなるさ。 「何とかなるさ……!」 「ちきすけ、そんな死にそうな声出さないでくれよ!」 出させないでくれよ……!とは言わないが……。 とりあえず、どの程度できるのかテストの範囲で基礎問題を出してみた。結果、 「現文以外ぼろぼろだな」 その現文も漢字で何とかしているような状態。 「オレ漢字は得意なんだ!」 「漢字だけできても駄目なんだよ」 思わず冷静につっこんでしまった。 「……よし、危ない科目からやろう」 「おいおい、全部一気には進められないぜ?」 「唐揚げにしてやろうか」 「地味に怖いごめん」 やれやれ、みたいな表情が凄く腹立たしかった。
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加