ワンクール

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絶望した。 それと同時に、この世界に対する怒りや憎しみが浮かび、最後にはどうにもならないこの状況を哀れんだ。 僕の唯一の楽しみが終わる。 一週間に一度の、深夜1:50分から始まる僕の唯一の楽しみが、この世界の中でひっそりと存在していたそれが、なんの抵抗の間もなく、終わる。 楽しみ、というのは、一言で言えば、アニメだ。 僕の大好きなアニメ。しかし、ネット上ではクソだと叩かれているアニメ。 僕は断じてオタクとかではない。これは本当にそうだ。これだけは譲れない。 しかし、そのアニメには、否。そのアニメだけには、ハマってしまった。 いや、ドハマりした。 それが終わる。 そのアニメのタイトルは「ワンクール!!」。 売れないアニメ制作者が、奇跡的に作ったアニメの放送期間ーーワンクールの間に起こるヒューマンドラマが描かれた作品だ。 それが終わる。 最近でいう、「あまロス」に近い感覚。終わる。終わる。終わる。と、脳内メーカーが埋まってく。 「…嫌だああああああああああああ!!」 つい、授業中の教室で叫んでしまった。しかし、後悔はない。それほど、僕は「ワンクール!!」が好きなのだ。 でも、その日から僕のあだ名が「痛男」になったのはすごく嫌だ。
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