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目が合い、その人は僕と成人雑誌を交互に見た。
それはまるで、「それ、エロ本コーナーですけど、買うんですか!?こんなまだ夕方なのに!?」と言っているようだった。
僕が静かに、しっかりと頷くと、その人の目は尊敬の眼差しに変化し、ゆっくりと目線を立ち読みしている雑誌に戻した。
僕は1人ではないと、再認識した。
僕は適当に成人雑誌を取り、レジに走った。後ろでは見知らぬ人が静かに様子を伺っていた。
しかし、僕はレジの店員を見て絶望した。その店員は女性だった。
しかも、結構な美女の女性である。
「退くか?」と、僕の中で誰かが訪ねてくる。
僕はすぐに首を横に振った。
僕は行くんだ。僕の大事なものを守るために。
そのためならプライドなんか捨ててやるさ。
僕はレジにエロ本を置いた。しかし、下心などまったくない。どちらかというと清々しい気分だった。
しかし、あからさまに嫌そうな顔をした店員を見て冷静になった。
店員はエロ本の端っこを持ち、まるで汚物を触るかののようにひっくり返し、バーコードをスキャンした。
「1560円です…」
僕が静かに二千円を出してる間にも、店員は嫌そうにしながらエロをレジ袋にいれた。
きっと、店員の仕返しだろう。レジ袋は透けてるやつだった。
やっぱこうなるよね…
帰り際に見たのは、先ほどの見知らぬ人がエロ本を手に取り、レジに向かう姿だった。
やめろ。やめるんだ。しかし、僕の声が届くことはなかった。
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