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はじめての片思い
あれから一ヶ月、苦戦しながらもバイトに少しずつ楽しさを感じ始めている。今では、オーダーをゆっくりではあるけど、ちゃんと作れるようになった。それに周りのスタッフの人とも会話が増え始め、だんだんバイトが生活の一部になりつつあった。
「今日の夜空いてる?」と谷川さんに言われた瞬間、これは!デートの誘いかと思ったが、勘違いも良いとこで。
「今日の夜、みんなでご飯食べに行くんだけど、喜多沢くんも行かない?」
「今日は、とくに予定無いから良いよ!」もちろん即答した。家に帰ったって、ゲームするか、パソコンで動画を見るくらいなことしかすることが無い。
「場所は、駅前の居酒屋で飲むよ」
「えっ?飲み会?」
「そうだよ!喜多沢君ってお酒飲める?」こういう質問がとくに返答に困るんだ。女性からの質問には、少しオーバーに言ってしまいたくなるのが男の心理だ。
「結構飲むよ!」普段飲まないけど、つい言ってしまった...
「じゃあ、今日の21時に駅前の居酒屋に集合で」
「了解!」
それから三時間が経過し、集合時間がやってきた。店に入るとすでに飲み会が始まっていた。なんと、集合時間が早まっていたのだという。
「ごめんね、喜多沢君。連絡先しらなくて、連絡出来なかったよ」
「そうだったんだ、全然良いよ」内心、少し泣きたかった。ま~飲みに来たんだし、酒飲んで忘れよう。
「喜多沢君、どんどん飲んで」どんどん先輩達から酒を注がれ、注がれた酒をどんどん口の中へと注いでいった。普段飲みなれない日本酒を飲みすぎたせいか、さすがにキツくなってきたところに、酔っ払った、谷川さんが酒瓶を持って隣にやってきた。
「喜多沢君、飲んでるかい?」
「はい!でも、まだまだいけます!」もう限界近い、俺は、バカな返答してしまったことにただただ後悔が残った。
「これ飲んでね!」と満面の笑みを浮かべた谷川さんが、日本酒を勧めてきた。すぐに飲み干して、「ちょっと電話が」と言って、携帯を取り出して、トイレに逃げ込んだ。それから三分ほど経過した。
「なんか、顔色良くなったね」そりゃそうだろ、腹の中を空にして来たから。それからもじゃんじゃん飲まされ、飲み放題の時間が終了を向かえた。
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