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それは土砂降りの公園。
帰る家ももたず、雨のなかただぼんやりとベンチに座りどんよりとくらい空を見つめていた。
このまま何も感じずに眠れたらどんなにいいだろう。
僕はそっと目を閉じた。
その時、不意に冷たい雫が途切れた。
目をあけると
「かぜ…引くよ?。」
差し出された傘は鮮やかなオレンジ色
視界が急に明るくなった。
まるで日が射したように。
「…いくとこないの?アタシのとこくる??」
君が屈託なく笑う。
女性が簡単に見ず知らずの男を家に招くなんて、前代未聞だと思う。
でも君はまるで僕を捨て犬か捨て猫のように拾ったんだ。
こうして僕らは出会った。
これが運命ならば、ひどく皮肉なものだと…、僕は思った。
ただ一度だけ、
もう一度だけでいいから
きみと笑っていたあの懐かしい日に戻れたら
どんなにいいだろう・・・
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