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「名前は?」
「え、」
「だから、あなたの名前。」
暖かいスープを僕に差出しながら君はいった。
「…リュウ。」
「リュウか。いい名前だね。私は茜。西川茜。」
明るい笑顔が、僕を狂わせた。
何にも変わらない。
声も笑顔も。
僕はだんだんと君のペースに引き込まれていった。
「リュウは好き嫌いとかあるの?」
「ニンニクが嫌い。」
「ニンニクぅ!? なんか、吸血鬼みたいだね。ほら、八重歯もそれっぽいし。」
一瞬ドキリとした。
「好きなのは?」
「・・・とまと。」
「とまとぉーーー!?」
それがあまりにも的を射ていたから。
そんなこんなで、
「リュウって、いわゆるホームレスってやつなの?」
「・・・ぁ、うん。」
「それなら、うちにいていいよ。」
君との生活が始まった。
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