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ケーキを食べたあと部長は私を送ってくれた。それも宇都宮駅までではなく東京まで。早起きした私は途中、車に揺られてウトウトとした。でも部長が私の体には触れた様子は無かったし、いかがわしいホテルにも連れ込まなかった。買い物をしたいからとアパート近くのコンビニで降ろしてもらった。楢和部長は付き合わせて悪かったな、詫びはまた次回に、と笑顔で帰っていった。 「やっぱり楢和部長は真梨夏狙いだったね」 「まだ分からないわよ」 同期の受付嬢とランチを取る。いつものベーカリーレストラン、焼きたてパンを頬張る。私の取り皿の上にはバジルのパンが二つ乗っている。 マンションにまで連れ込んだのに襲わなかった、車で寝てしまったのにラブホテルには行かなかった。女として魅力が無かったのだ。
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