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その一つ隣に運送業の男がいた。ニヤつきながらスマホをいじっている。黒いポロシャツのボタンを開けさせ、ゴールドのチェーンネックレスをちらつかせる。肉体を使って仕事をする男はどうしてこうも肉体を披露させたいのか、もう冬になろうというのに未だ半袖のポロシャツなのだ。 私は中に入りレジでコーヒーを買う。マグを持つとクリームも砂糖も入れずに運送業の男の隣に掛けた。 つまり男とセンセイの間。 「待った?」 私は男に正面を向けて座る。 つまり私の背中には、センセイ。 「ああ。でも早めに来たからよ」 男は操作していたスマホをジーンズのポケットにしまった。背後から漂う香水。剥き出しになっている男の二の腕など目に入らない。コーヒーすらも匂わない。否応無しに私は僅かに甘いオリエンタル香に集中していた。
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