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手首が痛い。下に引かれているようだった。男が私の手首を掴んだのかと思った。 「ねえ、自分から急かしとい……?」 自分の手首を見る。その白い手は濃紺のスーツからストライプのシャツを袖から覗かせていた。 「セ……」 「おやめなさい。前にも申し上げたでしょう」 私の手首を掴んでいたのはセンセイだった。スツールに腰掛けたまま私を見上げる。切れ長の鋭い目つき。
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