年末年始

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◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ パチンと響く駒の音。 将棋盤は薩摩黄楊。 駒は人間国宝が彫ったとか何とか。 けれど政成は惜しげもなくそれを使う。 「使わなければ持ている意味がないだろう?」 そんな彼だが、将棋に強いわけではなくただの趣味。 パチンと響く音は清らか、指ざわりも申し分ない。 だけど、 息苦しい――。 「もう来年は卒業か」 ありきたりの質問に「はい」と答えて駒を進める。 「詩織は恭がいなくなっても大丈夫そうかな」 その真意が分かるから、 恭の指は少し止まり、そして飛車を前に飛ばした。 「糸井様のご令嬢がついてますから。彼女はしっかりしてますし、安心していいかと」 政成は盤をじっと見つめて「うーん」と唸る。 そして、歩に手をかけて、 「事情が変わった。『桜塚』のネットワークは広い」 パチンと音を鳴らした。 恭はその音に瞳を細める。 『桜学園』には日本の上級社会に住む子供が通う。 いずれ社会に出た時のネットワークを得るために。 それらをすべて懐に入れている『桜塚』のネットワークはさらに広い。 政治の世界から金融、ゼネコンに商社、ありとあらゆる場所に伝(つて)を持つ。 そのトップにいずれ立つのが、 『宮城彬』、いや『桜塚彬』
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