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「なんで俺がこんな奴らと戦わないといけないんだよ」
そう言いながらもキチンと剣を振るい、呪文を唱えている青年。
背は平均より少し高く、白い髪は光を反射し、赤い目は虚ろで何を考えているのか全く分からない。薄紫色のパーカーを着ていて、寒がりなのか剣を持っていない左手を腹部のポケットに突っ込んでいる。その反面、何故かハーフのジーンズにサンダルという、何処の季節出身なのか分からない格好をしていた。
「いや、お前が無職だからだろ。レイ。」
スーツ姿で青年をレイと呼ぶ微笑みが張り付いた様な顔の初老の男性。彼もレイと同じく、白髪に赤目である。ただし、目はレイのように死んではおらず、何処か信念をもった真っ直ぐな印象を与える眼光だ。さらに鍛え抜かれた筋肉がスーツに浮き出て見える。
「うるせぇ、ガスト。それにお前だってついこの間まで無職だったじゃねぇか。」
レイは負け惜しみの様にそう言いながら巨大な狼の魔物を切り捨て、剣を納めた。
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