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折り返し点の第3キャンプでは巨大なかがり火が焚(た)かれ、テントが張られていた。教官がつぎつぎと到着する生徒たちをチェックしている。タツオの第1班は謎の集団に襲撃を受けたせいもあって、キャンプに着くのも遅れ気味だった。
官給品の腕時計を見ると、午前5時を過ぎてしまっている。全員かなり疲れていたが、休息をとる余裕はなかった。午前8時には養成校に帰投しなければならない。深夜の行軍訓練で遅刻を犯せば、個人も班全体も成績におおきな傷がつく。
火のそばで座りこみ、口を開けて苦しげに息をつくクニに、ジョージがいった。
「そろそろ出発だ。ここで休んでいると、あとがきつくなる」
タツオは自分の背嚢(はいのう)をかついだ。重さは10キロだが、ずしりと肩にくいこんだ。最初の重さの2倍はあるように感じられる。この背嚢だけならまだいいのだが、模擬銃の4キロ弱がずしりと腕にこたえる。
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