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 タツオは先ほどから考えていることを口にした。足も肩も腕も痛いが、なにかを話していると、すこしだけ耐えられる気がする。 「さっきのホッケーマスクのやつら、どこのクラスなのかな」  テルが涼(すず)しい顔でいった。 「案外、試験の一部なんじゃないか。襲ってきたのは、生徒じゃなく教官だったりしてな」  クニの息は荒かった。それでも軽口をたたくのは、自分の疲労を見せたくないのだろう。 「じゃあ、おまえは教官の肘(ひじ)を脱臼(だっきゅう)させたんだな。どういう採点になるのか、楽しみだ」  夜明け前の一番暗い空のもと、果てしない草原が広がっていた。第3キャンプ周辺は地形がゆるやかで、樹木もすくない。進駐官養成高校の近くには、山岳やジャングル訓練用のキャンプもつくられていた。人里離れた場所に設立されたのは、周辺に最適の自然条件が欠かせなかったからだ。  ジョージの声は冷静だった。
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