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「それなら、なおさら早く養成校に戻らなけりゃならないな。はずれた腕を抱えたやつが犯人に決まってる。ふん捕まえて、教官につきだしてやろうぜ」  速足で歩きながら、タツオは考えた。敵はそんなにわかりやすいところにいるのだろうか。進駐官養成高校は確かに学校だが、軍の一部でもある。タツオたち生徒も毎月国から給料をもらう進駐官見習いだった。 「生徒でも、教官でもない敵も考えられる」  指摘したのはジョージだった。しなやかな長身で、大股(おおまた)に進んでいく足運びは肉食獣が思わせた。なによりも足音がしないのだ。ほかの生徒と同じように15キロ近い装備を身に着けているはずなのだが。  テルが振りむくといった。 「だったら、誰なんだよ」  月が草原を照らしている。誰もが疲れているのだろう。幽鬼のような生徒たちがあちこちをふらふらになりながら歩いていた。 「……例(たと)えば、トリニティ」 「ふざけるな」
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