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「あら、なかなかやるわね?」
チャイナドレスの大年増が、扇子の陰で唇を吊り上げる。
……くそったれが!
俺は太刀を構え直し、チャイナドレスを睨んだ。
嫌なこと思い出させやがって。
束の間とはいえパニックに陥り、怯えに吠えた自らを叱咤鼓舞する為、俺は胸の奥で毒づいた。
「あ~ら、反抗的な目付き♪ でも、これを見ても落ち着いていられるかしらね?」
――!
チャイナドレスが鋭く翻り、つむじ風を産む。深紅の緞帳はズタズタに引き裂かれ、玉座の後方に隠れた空間を露にした。
「あ、あれは!」
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