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墨を流したような闇の中、赤と青の光を放つ石柱――モノリスが出現する。
盗聴傍受が絶対に不可能な暗号通信で、ユダヤの古の血族〈エルヴ・アブサント〉の長老達が集まるのだ。
私は思わず眼を瞑った。光はおぼろながら私自身を照らし、乳房の丸みや臍の下の茂みまでもを晒してしまう。
儀式に参加する者は、不浄なヒトの手による織物を身に纏ってはならず、女性に於いては、喩え生理的なサイクルとぶつかったとしてもケアの一切が許されていない。
「――今宵も新月の下、皆の息災を祝おうか」
威厳に満ちた声が響き、不明瞭だったモノリスが輪郭を鮮明にしつつあった。
屈辱に身を竦め、唇を噛んで皆の到来を待つ。玄室にはカメラの類いは取り付けられてはいないが、女にとって全裸を晒す屈辱以上のものなど想像したくもない。
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