LUNA

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胸の動悸が治まらない。治まるわけもない。 「し、しかし……。」 長老達の動揺を余所に、王は声を和らげて言った。 「ルナよ、私はお前が愛しくて堪らぬのだ。お前は美しく聡明だ、そして、ロスチャイルドの名に恥じぬだけの働きを見せてきた……。これはな、お前の弟や妹にあたる者への手向けでもあるのだよ。」 私は、施設で別れた他の子供達を思い出した。連絡をつけようがないが、私のようにロスチャイルドとして働く者がいるのかも知れない。 「我が傍に侍り、我を支えよ。アナテマと共に、新たな一族を興すのだ。」 「――御意!」 私は身を固くして叫ぶと、再び頭を低めて畏まった。
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