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それに比べて俺と来たら――。この場合、タナトスを恨むのはお門違いだろう。だが何を託されたのか。あいつは無口過ぎる。おまけに今は冥府の虜。無責任過ぎる。 繋がりあった眼と眼。互いの躯から立ち昇る煙がそれを遮った。不死の超代謝。 生きてきた時代も長さも違う。共有できるのは繰り返す痛みだけ。信長が言いたいのはそういうことだ。きっと。 月読がいるこの場所で、終わらない闘いを望んだのは俺に伝えたいことがあるからに違いない。或いは神憑きたる者の覚悟を。 「とことん付き合ってやる」信長が頷いた。「来い」馬乗りの姿勢から立ち上がり、幽鬼の如く躯を揺らす。乱れた髪が額を覆った。だが覇気の溢れる眼光は鋭さを失わない。
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