第69話

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英「要が優しいから。だから美夏は一切知らないんだ…要のあったかい気持ちを」 …さっき美夏先輩が笑顔であり得ないって否定したのは 何にも知らないからなんだ…‥。 英「でもね、要の最後の愛だったんだよ…美夏が悩まない様に、傷つかない様に。自分の気持ちなんて最初から無かった様に振る舞った。だからね…」 さ「だから…?」 英「あの時の要の気持ちを、踏みにじる奴は許せないんだ。…美夏を困らせる奴も」 さ「…」 英「そんな要がさくらちゃんを好きになった。だから、さくらちゃんには噂に惑わされて欲しくないんだ」 さ「……っ」 胸が張り裂けそうだ。苦しくて…とても切ない。 駄目だ。 顔を上げて、英士先輩に向かって笑わなきゃ。 話して貰えて良かったって… なのに顔を上げたら、絶対涙がこぼれてしまう。 英「ごめんね。俺はいつまで経っても役立たずだ」 さ「そんなこっ…」 顔を上げてしまった。やっぱり私の目から涙が零れた。 英「ごめんね、泣かせちゃった」 そう言って英士先輩は、私の頬につたった涙を優しく拭ってくれた。 泣きそうな笑顔で…。 .
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