其の十二

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屋敷の中に戻ると、ちょうど部屋から出てきた沖田さんと鉢合わせる。 「土方さん、お帰りだったんですね」 「・・・・・・」 「・・・・?」 にこりと笑ってそう言った沖田さんに対して、土方さんはといえばギッと笑顔を跳ねのけるように睨んだ。 「ははは、好乃さんにかかれば鬼も角を隠すんですね」 「てめ・・・」 「え?ええ?」 「良かったですね、好乃さん。今夜は優しくされてくださいね」 「優しく・・・?」 どういう意味なのか、土方さんに返答を求めて視線を向けると、ぽかっと頭を叩かれて、 「お前はさっさと部屋に戻れ」 「・・・・・はい」 有無を言わせないその言葉に頷き、従ったのだった。
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