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ガタガタと身体が震え始めたのが分かった。
ト「とりあえず、これは預かろうかな」
指輪が入った紙袋を私の膝の上から取る。
さ「駄目それはっ!!」
ト「返すよ?さくらちゃんが良い子にしてたら…ね」
さ「…どういう意味…」
私の問いかけを無視し、車を降りたトキという男。
助手席のドアを開けると、私をお姫様抱っこして歩き始めた。
怖い…
暫く無言でそのまま歩くトキ。
ザッザッザッ…
ザッザッザッザッ…
今はまだ何もされない安心感が出てきて、少しだけ冷静になれた。
さ(…どこだろ…ここ…)
薄暗い林みたいな細い道を過ぎると、古びた小さな倉庫の様な建物が現れた。
そのドアを入った所で私は降ろされる。
ト「どうぞ?」
さ「…」
ドアは今入ってきたドアだけ。
壁はコンクリートが打ちっぱなしで、窓1つない。
ガサッ
部屋の奥を見ると、何か影が動いた。
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