第92話

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さ「…嬉しそうに…?」 雅「父さんが自由に出来た事って、恋愛だけだったから」 恋愛…だけ? 私はまた癖でお姉さんを見つめてしまっていた。 でも私の“?”の気持ちを分かってくれたのか、話をしてくれた。 雅「父さん一人っ子なのよ。だからねぇ、特におばあちゃんが厳しくて。それで病院継ぐのももう決まってて。最初は結婚相手まで決められてたみたいでさ」 そうなんだ。だから、要には自由をプレゼントしたかったんだ…。 あれ? さ「でも…お姉さんが…」 要は自由になれたけど、お姉さんが病院を継いだわけだよね? じゃあお姉さんの自由は… 雅「さくらちゃんは優しいね」 さ「え?」 雅「私は桐生家の長女だから。上は下に、少しでも幸せになって貰いたいって思うものよ?だから、私が病院を継いで下が皆自由になれるなら安いもんよ」 そう言って笑ったお姉さんの顔は、さっき見たお父さんの笑顔と似ていた。 雅「だから私も嬉しいのよ?要がさくらちゃんと付き合えて」 さ「私こそ…まさか要みたいな素敵な人と付き合えるなんて…」 雅「要が素敵…か。確かに最近の要は刺が無くなったかなぁ」 お姉さんはクローゼットのドアを閉めながらそう呟いた。 良いなぁ要は。こんな素敵なお姉さんがいて…。 《上は下に、少しでも幸せになって貰いたいって思うものよ?》 私も…そんな風に思って貰いたかったな。 .
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