第100話

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貴久先輩が会長の机に向かって歩いて行く。 ドアと会長の机の間に立っているみちる先輩とすれ違った時、貴久先輩は足を止めた。 貴「…みちる。泣いてた?」 さ「え?」 貴久先輩の言葉でみちる先輩を見ると、みちる先輩は凄く驚いた顔をして貴久先輩を見ていた。 貴「みちる?」 さ「…みちる先輩?」 みちる先輩はずっと貴久先輩を見たまま動かない。 貴「みちる?大丈夫?」 み「…貴…之」 さ「え?」 貴‥之…?貴久じゃなくて? み「っ」 みちる先輩は涙を零しながら、私の脇を通り会室を飛び出して行った。 貴「…何で…」 さ「貴久…先輩?」 貴之(たかゆき)と呼ばれた貴久先輩は、凄く驚いている。でも…なんだか悲しそうな顔にも見える。 貴「あ、ごめんさくらちゃん。資料だよね」 貴久先輩は、悲しそうに笑いながら資料を探す。 さ「あの…私また今度で大丈夫ですから」 貴「…そう?」 さ「失礼…します」 いたたまれなさから、会室を足早に出て、静かにドアを閉めた。 さ「…あんな貴久先輩…初めて見た…」 閉めたドアに頭を付けて、私はそう呟いた。 .
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