第97話

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要「結構遠い所にあるんだな、母親の墓」 さ「あ…うん。ちゃんとした綺麗な所にって初基が…いつでも、どんな時でも見栄っぱりだからね…」 苦笑いをして要に話すと、要はニコッと笑った。 要「良い方に考えたらいい」 さ「良い方…?」 意味が分からない顔をする私に、要は私の頭を撫でながら良い方の意味を説明してくれた。 要「兄貴は見栄から良い場所に墓を建てた」 さ「うん」 要「でも…おかげで母親は綺麗な所で安らかに眠れるだろ?」 さ「……あ」 要「な?」 そっか…。 当時このセンターに連れて来られた時、初基の見栄にうんざりしっぱなしだった。 まさかお墓にまで見栄はるのかって…嫌で嫌で堪らなかった。 でも、要が言った通り…お母さんの事を考えたら、お母さんは綺麗な所でゆっくり休めてるんだ。 さ「要って凄いね」 要「お前の事に関してだけな」 照れもせず私を見つめてそう言ってくれた要が、凄く愛しく見えた。 .
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