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「要。次移動教室だよ」
「ああ」
俺は貴久に促され、机から教科書とノートを取り出し立ち上がる。
「はぁ…」
廊下を歩いていても、俺のため息が尽きる事は無い。
「ため息ばっか付いてると幸せ逃げるよ?」
いつもなら貴久のそんな言葉に反応はしない。ただ、今の俺はそれだけ必死だった。
思わず息を止めてしまった。
「クスクスッ」
「…なんだよ」
貴久に見透かされた様で恥ずかしくなり、俺はさっきより少し足早に廊下を歩く。
「おいっ要」
「あ!結城君。いたいた。ちょっと良いかな?今度の…」
俺を呼び止め様とした貴久が、教師に呼び止められたのを見て、俺は助かったと思いながら角を曲がった。
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