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「あ、いたいた要」
なんとなく、今の女が曲がって行った角を見ていた俺に、貴久が追い付いて声をかけた。
「…何?何かあった?」
「何でもない」
今の女も髪が茶色だったな。
でも茶色の髪の女なんか、貴久の言う通り幾らでもいる。
「って遅れる!早く行こう」
「ああ」
再度貴久に促され、俺は移動先の教室へと向かった。
はぁ。
早くあの雨の女を見付けたい。
―…見付けたいのに、想いだけが空回りする。
「何かあった?」
「お待たせ玲菜。2年生の先輩とぶつかっちゃって…」
つうか、顔わかんねぇから同じ状況になって貰うしかないって事かよ。
はっ。
雨と共に始まった恋は、前途多難だな。
―END.
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