2317人が本棚に入れています
本棚に追加
/302ページ
(店長side)
「終わったぞ」
パソコンを閉じて、俺は椅子から立ち上がった。
作成した資料は本社へ送ったから、明日にでも本社の事務が人数分コピーして纏めておいてくれるだろう。
「野々宮?」
返事がないのを不思議に思って後ろを振り返る。
そこには床の上で丸まって寝ている野々宮がいた。
ったく、遅くなるから寝てろっつったのに。
『終わるまでここで待ってます!』
と元気に言ってたのがこれか。
ま、あれから2時間近くも経ってれば眠くなるのも分かるが。
「これじゃ何の為に風呂入ったのか分かんねーな」
折角温まったのに、風邪ひいちまう。
一向に起きる気配を見せない野々宮を抱き上げて、寝室に向かうとベッドにゆっくりと降ろした。
ったく、このバカは、笑ったり逃げ回ったり、ほんと忙しーヤツ。
でも、泣かれるのだけは勘弁だ。
こいつに泣かれるとどーすればいいのか分からなくなる。
上手く慰められない。
ハタチにもなってねーようなガキ相手に、年甲斐もなくドギマギしてしまう自分がいる。
ったく、俺はロリコンなんかじゃねーぞ。
大体、俺のタイプは仕事での意見も出し合えるようなもっと大人の男だ。
こんなガキのお守りなんてガラじゃねーんだよ。
でも、いつの間にか目が離せなくなってしまったガキに、愛しさを感じるようになってしまったのはいつからだろう?
野々宮、お前に俺はどう映ってる?
ただの怖い存在か?
それとも、少しは心を許してくれているのか?
「グフフ、いちごポッキーのプールだぁ」
ニンマリと笑みを浮かべて寝言を洩らした野々宮に、俺は深いため息をついた。
最初のコメントを投稿しよう!