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「今夜、どうする?」
「そうね。髭が痛そうなんだけど」
「そんなことは無いよ、優しくする」
センセイの指は綺麗だった。その白く長い指が同期の手を包んでいた。手すらお似合いの二人に私は猛烈に怒りが込み上げていた。身体が震える。
「寒いなら、もうホテル行こうか」
「ええ」
荷物を取りに戻ろうと振り返ると自動ドアが開く。この男も一晩だけのお付き合いだ、そういう匂いがする。でもいい、この震え上がる身体を壊して欲しかった。
「……」
あの匂い、香水。私は目の前にいる人物に立ち止まった。いや立ち尽くした……足がすくんだ。
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