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「……今夜はお帰りなさい。気分が優れないのでしょう?」
センセイは怒ったのだろう、ボソリと呟くように吐き捨てた。嫌味。
「……」
息巻いた私が皆の前でセンセイと過去に関係したことをバラすと思ったのかもしれない。同期をもう少しで口説けるところまでいたのだから。
センセイは私の肩を強く掴み、押し出すように外に出た。逃げられないように抱えて歩く。
「痛いわよっ」
「……」
通りに出るとセンセイはタクシーを拾った。横付けしたタクシーの後部座席のドアが開く。
「乗りなさい」
威圧感のある声に私は仕方なく乗り込んだ。センセイは助手席のドアを開け、運転手に地名とコンビニ名を告げて1万円札を手渡した。アパートの近くのコンビニだ。
「真梨夏さん、いいですね?」
助手席のドアが閉まるとタクシーは動き始めた。
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