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それからずっと忙しかった。両親の葬式や遺品の整理などとにかく忙しかった。これから、俺はどうなるのか…。その判断は親戚に任せる。俺のことを引き取ってくれる人はいるだろう…。みんないい人たちなんだから…。
そう、思っていたのに。
俺は聞いてしまった。親戚のみんなは俺のことなんかどうでもよくて、本当は両親の残した遺産が目的だったんだ。
「明良のこと…どうします?」
「うちは、ムリだ。子どもも2人いるにのに…。」
「うちだって、3人も…。でも、明良には遺産があるわね…」
俺の頭の中にあるなにかが音をたて、つま先が冷えていくのを感じた。
「俺は…誰のお世話にもなりません。」
俺は親戚が話している部屋のふすまを開けてそう言った。
親戚のみんなは目を見開いていた。
「両親の遺産は俺が生きていくために使っていきます。あなたたちのお世話なんかいりません。」
「ふざけるな!!なに言ってるんだ!!子どものお前が…」
叔父さんが言い終わる前に俺はふすまを閉めた。
俺はその場から走り出してある公園に来た。
頬はやっぱり濡れていた。
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