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俺は二人の間に行き、先生は二人の前に立った。先生は右の人の顔の布を取った。
そこには、顔色が青白く、唇が紫色の俺の父親がいた。左には同じ状態の母親がいた。父さんの右手と母さんの左手を握ると、温もりがなく本当に死んでいるのだと実感した。
「父さん…?母さん…?」
呼びかけても、二人は返事をしない。
「なんでだよ…俺を一人にしないでよ…」
涙がポロポロと出て、言葉が震える。
俺は声をその場に座り込んでしまった。
「明良くん…」
先生が俺の肩を抱いた。その、温もりに安心したせいか俺の意識はどんどん遠くなっていく。
「……!? 明良くん!?明良くん!!」
先生の声を聞きながら、俺は気絶をした。
両親の右手と左手を握りながら。
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