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春。 暖かい日差し。 風が気持ちよくて、あたしはいつものように窓を開けた。 まだ満開ではない桜と、窓際に立つあたしに、暖かくて柔らかい風が吹く。 毎日少しずつ桜色に染まっていく校庭を、ぼんやりと見ていた。 今日は部活がないから髪をおろしていて。 部活がないのにどうして多目的ホールにいるのか…。 その理由を考えただけであたしの頬は赤く染まりそう。 ガラッと後ろから扉の開く音がする。 ドキドキするけど、この瞬間を何よりも楽しみにしてたんだ。 1年の冬から、突然特別になったこの多目的ホール。 そこに来る男の子は、特別で、大事な人。
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