83人が本棚に入れています
本棚に追加
春。
暖かい日差し。
風が気持ちよくて、あたしはいつものように窓を開けた。
まだ満開ではない桜と、窓際に立つあたしに、暖かくて柔らかい風が吹く。
毎日少しずつ桜色に染まっていく校庭を、ぼんやりと見ていた。
今日は部活がないから髪をおろしていて。
部活がないのにどうして多目的ホールにいるのか…。
その理由を考えただけであたしの頬は赤く染まりそう。
ガラッと後ろから扉の開く音がする。
ドキドキするけど、この瞬間を何よりも楽しみにしてたんだ。
1年の冬から、突然特別になったこの多目的ホール。
そこに来る男の子は、特別で、大事な人。
最初のコメントを投稿しよう!