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「馬鹿を言うのもお止しなさい」
センセイは私に覆いかぶさると腕を私の背中に回して胸を密着させた。私の目の前にはセンセイの肩。首筋から立つ甘い匂いが私の鼻を突く。
「ただの香水ですよ」
「ベースは市販されてますけど、甘いのは何処を探しても無いもの」
「あれは輸入物の練り香水です」
「怪しいわ」
「個人輸入ですが、通販とさほど変わりませんよ」
センセイは私を抱きしめたまま同じ動きを繰り返す。私はセンセイの背中に手を回してしがみつく。この甘い快楽を手放したくなくて。雑草でも酔えるのだと証明してくれる背中。薔薇には高価な食事を与えた、雑草には甘い快楽を与えた。なら私は雑草でもいい。
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