『白鳥啓介』

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「少し意識がはっきりしてきたようですね。白鳥さんがうちの“ライヒマン病院”に入院して、もう半年くらいになるんですよ。覚えてますか?」 半年……?まさか、もうそんなに経っていたのか。じゃあ今は10月か? 「は、半年も意識を失ってたんですか……。」 「いいえ。今は2013年の11月です。」 大神先生がさりげなく言った言葉に私はさらに混乱した。2013年?たしか私が倒れたのは2012年の4月11日のはず。 私は、1年半も眠り続けたのか? 「白鳥さんは……心神喪失状態で、会話も出来ない状態でした。このライヒマン病院はそのような方々に対しての治療を行う日本でも有数な施設です。」 つまり、精神病院……? あまりに突然なことに私はただ口をあんぐりとさせるしかなかった。 「当院独自の漢方薬治療が、白鳥さんにすごく合っていたようですね。今は意識ははっきりしていますか?」 「はい……1年半も経ってるなんて、信じられません……。」
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