『白鳥啓介』

4/32
前へ
/32ページ
次へ
結果 楽しくもない会社の時間ばかりが増え、2013年3月、私は結婚の話があがっていた彼女に別れを告げられる。 殴られても蹴られても罵られても、私は彼女のためにと我慢した。 数少ない休みの日 駅前の喫茶店に呼びだされた。 『別れましょう。』 喫茶店について早々、彼女は涙を流しながらもさっぱりした顔で別れの言葉を切り出した。 別れを切り出されたその瞬間、私はようやく彼女の中で私との関係は既に終わっている事なのだと気づいた。 彼女のためにと思い、必死に耐えてきたことが実はまったくの検討外れだったとようやく理解した。 彼女は私に我慢して会社に勤めることではなく 時間を共有することを望んでいたのだ。 『実はね、資格を取るために勉強に集中したいの。そうなったら、きっとお金に余裕だってなくなるし、貴方がいたらきっと甘えちゃうよ。だから、ね、別れましょう?』 間の抜けた顔で黙りこむ私に、彼女の言葉は綺麗な形で終わりにしようとする都合の良い言い訳にしか聞こえなかった。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加